近年では日本でも大々的に催されるハロウィンですが、実はハロウィンが日本にやってきたのは1990年のこと。意外と最近なんですね。

一体どんな歴史を辿って今に至るのか?調べてみると、かなり複雑に色んな文化が混ざり合っているようです。ネット上には色んな情報が錯そうしていて、どれが正しいのかもイマイチ良く分からない状況。

そこで、ハロウィンの歴史を時系列で出来る限り簡単にまとめて、出来る限り分かりやすく解説します。

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ハロウィンの起源「サウィン祭」

ケルト人の焚き火
ハロウィンの起源は古代ケルトの「サウィン祭」だと言われています。

「サウィン祭」は紀元前の魔除けのお祭りで、秋の収穫を祝うと共に、死者の霊を迎える日でした。古代ケルトでは10月31日は1年の終わりでもあり、とても重要な日でした。

日本では「盆と正月が一気に……」なんて言葉がありますが、まさしくそれ。

大きく影響を与えた3つのお祭り

その後、「サウィン祭」は様々な文化の影響を受けて現在のハロウィンへ形を変えていきます。

大きく影響を与えたとされるお祭りは3つ。

  • 古代ローマのポーモーナの祭り
  • 祖霊祭パレンタリア
  • キリスト教(カトリック)の万聖節

簡単に“これらが混ざった”と表現されることが多いですが、何がどう混ざったのかは現在も研究中だそうで、様々な説が戦わされているのが現状です。

それでは、まずはこれら3つのお祭りがどのように混ざっていっかのか、時系列順に見ていきましょう。

古代ローマのポーモーナの祭り

1世紀ごろ、イタリアのシチリア半島から、ケルト人が住む地域へ古代ローマ人が勢力を伸ばしてきました。あのローマ帝国の時代です。

ローマ人は11月1日頃に「ポーモーナの祭り」を祝っていて、時期も近かったケルトの「サウィン祭」と混ざり合っていったと考えられています。

ハロウィンのシンボルカラーである黒とオレンジのうち、オレンジの方は女神ポーモーナに由来していると言われています。

ウェルトゥムヌスとポーモーナ

フレスコ画「ウェルトゥムヌスとポーモーナ(1519〜1521)」

ポーモーナ

右下に描かれた鎌を持ったポーモーナ

「ハロウィンの主役はリンゴ?」

リンゴをシンボルとする果実の女神「ポーモーナ」を讃えるこの祭りの影響を受け、リンゴはハロウィンの日に欠かせない果物になっていきました。

日本にはあまり馴染みがありませんが、実は海外ではハロウィンの日にリンゴを使った料理を振舞う習慣があります。

リンゴを使った“ダックアップル(アップルボビング)”というゲームも盛んに行われ、それもまた「ポーモーナの祭り」の影響だと言われています。

ダックアップル

リンゴを使ったゲームは、水を張ったたらいにリンゴをいくつも浮かべ、手を使わずに口でくわえて取るゲームです。「ダックアップル」といって、ハロウィンのパーティーでは欠かせないゲームの一つでもあります。

引用:Cafe Googirl | 画像出典:©Halloween Games: Apple Bobbing – English La Farigola

祖霊祭パレンタリア

古代ローマで2月に行われた死者の霊を祭るお祭りです。

先祖の霊を慰めるためにお供え物をして、“亡くなった愛する人の魂”を意味する神「マネス」を祭ったとされています。古代ローマの墓石には “D.M.(dis manibus:マネス神のために)” という文字が刻まれました。

3世紀のイエス・キリストの墓
3世紀のものと思われるイエス・キリストの墓にもD.M.の文字が刻まれています。

近年、「死者の霊を祭るためのお供え物」という共通点からハロウィンとの関連性が考えられています。

ハロウィンの語源となった「諸聖人の日」

7世紀に入るとキリスト教が強く影響してくるようになりました。一般的にもよく知られる11月1日の「諸聖人の日(万聖節)」です。カトリックに「諸聖人の日」が導入されたのは609年で、当時は5月13日に祝うものでした。11月1日になったのは8世紀のこと。

なぜ「ハロウィン」の近くに持ってきたのかというと、ケルト人のキリスト教への改宗のため。クリスマスにお盆をくっつけて、「クリスマスなんだか盆なんだかワケわかんなくしちゃえ!!」ということです。

宗教に疎い日本では、「ハロウィンはキリスト教のお祭り」と勘違いされることもありますが、実はキリスト教では、タブー視こそされ、推奨されることはありません。

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宗教的な価値がなくなっていくハロウィン

17世紀頃、既に宗教的な利用価値がなくなっていたハロウィンは、なんとなく残ってはいましたが、イングランドでは11月5日の「ガイ・フォークス・ナイト」という祭りが盛んになり、ハロウィンは徐々に廃れていきました。別の祝日と被ってワケわかんなくなっちゃったパターンですね!

一方、ケルトの文化が色濃く残る地域では、熱心に祝われていたと伝えられています。スコットランド、アイルランド、マン島、ウェールズとか、あの辺です。

1833年頃のアイルランドのハロウィンの様子を描いた絵画

1833年頃のアイルランドのハロウィンの様子を描いた絵画

この時点で、ハロウィンは宗教的な祭典ではなく、民衆のお祭りとしての形を整えていました。

アイルランドからアメリカへ

はい、ここは教科書にも出ましたよ!19世紀になって、アイルランドからアメリカへかなり大規模な移民が行われました。原因は、大規模なじゃがいも飢饉と宗教的な弾圧です。

これは豆ですが、アメリカ人の出自3位はアイルランド。1位がイギリスで2位がドイツです。

この時、ハロウィンの風習も一緒にアメリカに渡ってきました。

ハロウィンの絶対的マスコット「ジャック・オ・ランタン」がカボチャになったのはこの時です。アイルランドではもともとカブが使われていましたが、アメリカにはカボチャしかなかったので、「じゃあこれで良いか!」となったわけですね。

当初はアイルランドやスコットランドの出身者だけでひっそりと祝われていました。20世紀初頭から、アメリカでは大衆文化が花開き、ハロウィンは、徐々にアメリカ全土に受け入れられるようになっていきます。

さらにアメリカが軍事・経済的な活動を国際的に広げていくにともなって、ハロウィンの風習も世界中に広がっていったのです。

~現在、世界各国のハロウィン事情

ハロウィンを祝う国

現代では特に英語圏で広く普及しています。

ハロウィンが最も盛んに祝われるのは、やはりケルト文化が色濃く残るアイルランド。10月最後の月曜日に続く週は「ハロウィン休み」と呼ばれ、全ての学校がお休みになります。

アメリカ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアなどでは、イギリス帝国が植民地化してきた関係でハロウィンが伝わり、現在も盛大に祝われています。

上記の国はキリスト教ですがプロテスタント信者が多く、カトリックの「諸聖人の日」は徐々に廃れていき、現在ではハロウィンのみが残された形に落ち着いているようです。

ドイツ、東南アジア諸国、日本などは、英語圏の文化と接点が多く、「アメリカの大衆文化」として親しまれています。

ハロウィンを無視している国

方やカトリック信者の多いラテン系諸国では「諸聖人の日」の方が重要視されていて、ハロウィンはほとんど無視されているのだとか。

例えばヨーロッパではイタリア・スペイン・ポルトガル・フランス。中南米諸国のブラジル・ペルー・アルゼンチン・コスタリカ・ニカラグア等々もラテン系の国々です。

また、東欧や中東の方ではまた別の教義が広まっており、(正教会・東方諸教会)こちらでもハロウィンは祝われません。特にロシアにおいては、国を挙げてハロウィンを阻止しようとする動きも。

ですが、これらの国でもインターネットやSNSの発展に伴い、随分ポピュラーになってきているようです。

日本のハロウィンの歴史

冒頭でも少し触れましたが、日本でハロウィンが始まったのは1990年代のこと。意外なほど最近なんです。

火をつけたのは東京ディズニーランドでした。日本のハロウィンは100%アメリカの経済的な戦略から始まっているのです。さらに、お菓子メーカーのハロウィン商戦への参戦、SNSの後押しによって2000年代後半から爆発的に広まります。

市場規模は年々拡大し、今やバレンタインデーやホワイトデーを抜き去って、今やクリスマスに次ぐビッグイベント。

アニメ産業が世界一の国ですから、もともとあったコスプレ文化と特に相性が良く、現在では若者による仮装・コスプレの一大イベントとして日本独自のハロウィンが定着しました。

まとめ

簡単に!とか言いつつ、かなりの長文だったと思いますが、最後まで読んでいただいてありがとうございます。お疲れ様でした。ざっくりと解説しましたが、大体の輪郭はつかめたでしょうか。

ハロウィンの宗教的な匂いはキリスト教の影響が強いようですが、そのキリスト教が否定的な立場を示しているのは意外でした。こうして歴史を追ってみると、とても民衆との結びつきが強い「昔からの大衆文化である」ということがよく分かります。

「大衆文化:pop culture」は大衆が力を持ちはじめた20世紀前半に浸透してきた文化ですが、2000年も前からハロウィンがそうして親しまれてきたのかと思うと感慨深い気持ちになりますね。

ざっくり輪郭をつかめたら、ハロウィンに仮装をして「トリック・オア・トリート」と言って街を徘徊する意味や、なぜカボチャが使われるのか?「ジャック・オ・ランタン」についても知っていくと、より奥深いハロウィンが楽しめると思います。