イタリアにはイタリア料理なるものは存在しない、という話はご存知でしょうか?

イタリアンとは、イタリアを発祥とした調理法のことを指しますが、その実、とてもいっしょくたには出来ないバラエティ豊かな郷土料理の集合体なのです。

カルボナーラ、バーニチャカウダ、アクアパッツァなど、日本でおなじみの“イタリアン”も、フタを開ければ全く異なる地域の郷土料理。

気候が違えば、素材も、調理法も、食べ方も、それぞれがまるで変ってくるものです。イタリアの郷土の違いを知れば、その楽しみ方も一歩深みを増すこと間違いなし!

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“イタリアン”は3つの地域に分けられる!

一般的にイタリア料理は、北部、中部、南部の三つの地域でその違いが語られます。

  • 北部/フランス料理に近い味わい
  • 酪農地帯である北イタリアは、バターや生クリームを使用した濃厚な味わいの料理が多く、フランス料理の特徴に近い。寒冷地であることから、野菜よりも肉がよく食べられ、煮込み料理や加工肉を活用した調理法が特徴的。

    • アニョロッティ・ダル・プリン
    • ラヴィオローネ
    • ティラミス
  • 中部/北部と南部の良いとこどり
  • 穏やかな気候が一年を通して続く、農作物の生産にも恵まれた土地柄。南北の文化がほどよくブレンドされた、素材の特徴を生かしたシンプルな料理が多い。世界的にも有名なパルミジャーノは、中部イタリアの食材。

    • サルティンボッカ、フィレンツェ
    • ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ
    • パルミジャーノ・レッジャーノ・チーズ
    • プロシュート・クルード(生ハム)
    • バルサミコ
    • モルタデッラ

    中部イタリアの風景

  • 南部/外国人から見た典型的なイタリア料理のイメージ
  • 野菜や魚介がよく使われ、北部に比べてさっぱりとした味わい。日本人がパッと思い浮かべるオリーブオイルやトマトを多用する様なイタリアンの特徴は、南イタリアのもの。

    • アクアパッツァ
    • オレッキエッテ
    • フレーグラ

一口にイタリアンと言っても、扱う素材から調理法まで、それこそ正反対と言ってもいい程違っていることがよく分かります。

こうしたイタリアの郷土料理の違いは、世界からも大きな関心を集めているようで、「itary food map」と検索すればその地域に根付いた郷土料理を反映させた、おしゃれなフードマップをたくさん見ることが出来ます。

itary-food-map
なぜイタリアの郷土料理は、こんなにも違いがあるのでしょうか?

地域によってこんなにも違うワケ

古代ローマ帝国 食事
イタリア料理の歴史は古く、その基盤は古代ローマ帝国にまでさかのぼります。そうです。食っては吐いてまた食って、を繰り返してたあの時代です。

古代ローマの食文化は長い時間をかけてヨーロッパ全土に伝わっていき、それぞれの地域の特徴に合わせて変容していきました。

イタリア料理は世界三大料理の一つに数えられるフランス料理の元にもなり、イタリアの食文化は西洋料理全体の母的存在と言われています。

そんなイタリアが「イタリア王国」として独立し、現在の形になったのは1861年のこと。それまでのイタリアには、多数の独立国家がひしめいていました。

19世紀のイタリアの地図

19世紀のイタリアの地図

それまであった国ごとの文化の違い、南北に長い特徴の違い、海と陸の違い、それらの違いが、国境だけでひとまとめにされている事実は、「イタリア料理などという料理は存在しない」という見方を生み、今日、語られています。

地域の特色を打ち出している店は要チェック!

オリーブオイル
こうしたイタリアンの郷土性にこだわっている店では、日本で食べられている代表的な料理だけでなく、聞いたこともないような料理に出会えることも。

イタリア料理では欠かせないワインも、その土地の料理と合わせてより引き立てられます。

イタリア料理を学ぶ料理人たちは、郷土に根ざすことで専門性を高め、より自分らしい料理を開拓していくのだとか。

それは、作る側だけの話ではありません。食べる側だって“イタリアン”のもう一歩向こう、イタリアの郷土の特徴を知ることで、イタリアの料理をより楽しめるようになるはず。

イタリアンのお店を選ぶときは、イタリアの郷土性に注目して探してみると、今までの認識を少しだけ越えて、新しい扉を開けるかもしれません。