2020年東京パラリンピックで新たに加わる種目の一つ“パラバドミントン”。

長島理さんは、その競技の先駆者でもあり、メダルに一番近いと言われている人物です。

車いすバドミントンの戦績もさることながら、仕事での実績も確実に積み上げていく彼のスタイルに、成功の秘訣を学びます。

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長島理さんのプロフィール

長嶋理 車いすバドミントン

車椅子バドミントン 長島 理(ながしま おさむ)

プロフィール

1979年生まれ。
株式会社LIXIL R&D本部 マテリアルサイエンス研究所勤務。

中学からバドミントンを始める。大学時代に事故で脊髄を損傷し車椅子生活となったが、車椅子バドミントンを知り競技を再開。日本代表として、国内外の大会で数多くのメダルを獲得している。

2005年、INAX(現:LIXIL)に入社し、防汚技術などの研究に従事。LIXILトイレの汚れをつきにくくする“プロガード”は長島の研究によるもの。業務でも大きな実績を残している。

世界ランキング9位(WH1クラス、シングルス/2016年6月16日現在)

LIXIL|LIXIL×SPORTS|車椅子バドミントン 長島 理 より引用

バドミントンを始めたのは中学生の頃。埼玉県立大宮高校に進学し、バドミントン部では部長としてダブルス県ベスト8、団体4位の好成績を修めました。

その後、国立千葉大学に進学。20歳の時、自動車による事故で脊髄を損傷し、下半身麻痺となってしまいます。

しかし、長嶋理さんはすぐに大学に復帰。バドミントンを再開したのは21歳の時でした。

事故の絶望と再会

20歳の時に事故に遭い、21歳の時にはバドミントンを再開。それだけ聞くと、すぐに回復したように思えますが、長嶋さん本人は当時の事故を「絶望」の二文字で語っています。

MRIの写真を見せられた時、背骨の神経がぷっつりと切れているのを見せられ、足が動かない理由が腑に落ちたと同時に、自分が置かれている絶望的な状況が腑に落ちたと言います。

もう二度と歩けない。

しかし、長嶋さんはすぐに前を向いて進み始めました。

普通だと自暴自棄になってしまいそうな絶望に光を射してくれたのは、ただ「バドミントンをやりたい」という純粋な思いだったと言います。

こうして、長嶋さんは家族や大学のサークルの仲間に励まされ、パラバドミントンの世界に足を踏み入れることになりました。

しかし、その道も平坦なものではありませんでした。

パラバドミントンとバドミントンの違い

バドミントとパラバドミントンは同じ「バドミントン」と呼ばれる競技ですが、使う筋肉も違えば必要な技術も全く違います。

最初の1、2年は全く思うように動けず、車いすを操作する練習を強いられることに。

1、2年という歳月は、思い返せばあっという間ですが、体感するには長すぎます。その間、これまで出来ていたことが出来なくなった絶望と、思うように体が動かせないジレンマに全く襲われなかったと誰が言い切れるでしょうか。

それでも、長嶋さんは指導者も十分でないパラバドミントンの世界で、自分で考え、実践し、少しずつですが前進を繰り返し、世界の頂点に手が届くところまで上り詰めてきました。

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戦績がスゴイ

2013年の「日本障害者バドミントン選手権大会・東京」での優勝から、今年の「第1回日本障がい者バドミントン選手権大会」で国内では通算12回の優勝を果たしています。

ダブルスでは12連勝中で、シングルスは国内公式戦での敗戦は1回のみ

世界での戦績も目覚ましく、ドイツ・イギリスの世界大会と仁川(インチョン)アジア大会では、いずれも銅メダルを獲得!パラバドミントンでの金メダルに一番近い男と呼ばれています。

2016年のリオパラリンピックでは、残念ながら車いすバドミントンは正式種目とはなりませんでしたが、東京パラリンピックからは正式種目に登録されました。

長嶋さんの東京パラリンピックでの金メダル獲得に期待がかかりますね!

仕事の実績もスゴイ

株式会社LIXIL

長嶋さんが勤めるLIXILは、トステム、INAX、新日軽、サンウェエーブ、TOEXの5社が合併し、2011年に出来た会社です。

キッチン、トイレ、洗面、お風呂などの水回りから、サッシや玄関などのエクステリアなど、住宅の設備機器を総合的に扱っています。

住宅に広がるバリアフリーの考え方を障がい者の就労環境の改善にも力を入れています。

当時は、車いすの就労は断られることが多かったそうですが、快く受け入れてくれたのがLIXIL(当時のINAX)だったと言います。

長嶋さんの実績

TOTOのセフィオンテクト、パナソニックの有機ガラス系新素材、LIXIL(INAX)のハイパーキラミック&プロガード

トイレの防汚技術は、日本を代表する陶器メーカーのそれぞれが独自に研究が進め、しのぎを削っています。

その一翼であるLIXILのプロガードは、便器表面の水垢を防ぐコーティング技術で、LIXILの便器に一般的に使われている商品です。そのプロガードが長嶋さんの研究の成果のひとつで、特許もとっているのだとか。

研究者として確かな実績を残しつつ、パラリンピックでも世界を狙える位置にいるというのはすごいですね。

これぞ文武両道。

長嶋さんは、「一見、地味に思える作業の積み重ねが結果を出す。そうしたところが研究とバドミントンに通じているところだ」と語っています。

感情に振り回されずに淡々とこなしていく難しさ

長嶋さんを絶望の淵から世界の頂点に押し上げたのは、周囲の協力や仲間の励ましの力も当然あったと思います。

しかし、どんな絶望的な状況でも「今やりたいこと・やるべきこと」を見失わない純粋な意志の力こそが、長嶋さんを前に向かせているように感じました。

「継続は力なり」とは言いますが、目の前のことを淡々とこなすことほど難しいことはありません。

ついつい気合が入ってしまったり、やる気が起きなくておざなりになってしまったり、感情に振り回されて「今すべきこと」を見失ってしまいがち。

果ては「何がしたいのか分からない」という人も多いです。

感情レベルをゼロにして、その時すべきことを淡々とこなしていく。それだけが、たった一つの成功の真理なのかもしれませんね。