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新潟県糸魚川市の火災

世の中のこと

新潟県糸魚川市の火災の火元はラーメン屋!?原因は火の不始末か。賠償金は発生しない?

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新潟の糸魚川市の火災がすごいことになっていますね。

140棟に延焼しており、商店街にある食堂から出火とのこと。SNS上で出火元である店は特定されているようですが、詳しい原因はまだ発表されていません

火事もようやく鎮火され、現地調査が入っています。詳細は「出火の原因は」の見出しに追記しました。

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出火の原因は

22日午前10時半ごろ、新潟県糸魚川市大町1丁目の飲食店に煙が充満していると近所の商店から119番通報がありました。

SNSの情報では、上海軒というラーメン屋からの出火とのことですが、テレビのニュースなどではまだ詳しい情報は報道されていないようです。

これだけの規模ですから、最初から相当な火の勢いがあったんだと思います。そう考えると、原因はやっぱり油の近くでの火の不始末でしょうか。一般家庭用と違って、業務用コンロの火力って凄まじいですから。

しかし、まだまだ出火元がSNSで話にのぼっている程度の情報なので、上海軒に責任があるとは全く言い切れない状況です。こういうこともありますからね……。

東京ガス:45万件機器交換へ ガス漏れ、接続ガス栓

東京ガスは22日、東京都内の一般家庭でシステムキッチンのガスこんろとガス管をつなぐ機器の不具合からガスが漏れ、引火するトラブルが11月に起きたとして同型の機器を使っている約45万件の利用者を対象に交換作業を実施すると発表した。火はすぐに消え、けが人はいなかった。

毎日新聞 より引用

ニュースなどでは火災発生当初に強い南風が吹いていて、その風が延焼が広がる原因になったと報道されています。飲食店で油やガスに引火して激しい火災になったケースは過去にもありますが、これだけ大規模になるともはや自然災害ですね……。

-2016/00/00追記-
鎮火後、報道陣の取材に店主が答えていました。出火の原因は「鍋に火をかけたまま出かけていた」とのこと。消防と警察の現地調査では、真っ黒に焦げた鍋が発見されています。

報道陣の取材に応じた形ですので、正式な発表とは言えませんが、火元がラーメン屋であることは間違いなさそうです。調査の結果もまもなく発表されることと思われます。

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被害状況

140棟以上に延焼。7時間たった今でも火の勢いは衰えず、363世帯744人に避難勧告出ています。40代の女性1人が煙を吸って体調不良を起こしたほか、40代の女性が1人逃げる際に軽いけがをしたそうですが、救急車で搬送されるようなけが人はいないとのこと。

辺りが暗くなるにつれて火のオレンジ色が地獄絵図のような光景を作り出しています。

直接のけが人はいませんでしたが、街は未だに延焼中。

歴史的建造物も燃えてしまったとか……。

-2016/00/00追記-
鎮火後の報道によると、延焼したのは156棟、けが人は11人、死亡者は出なかったとのことです。

死者が出なかったのは不幸中の幸いでした。しかし火事の爪跡は大きく、家が全焼し全てを失って路頭に迷っている被害者の姿が取材されていました。

賠償責任はない!?

SNSでは出火元の賠償金を心配する声もたくさん。

日本の法律では、例えば隣のAさんの家が原因で自分の家が燃えたとしても、“重大な過失”がなければAさんには賠償責任はありません。自分の家で火災保険に入っておくしかないんですね。

通常、損害賠償の件には民法第709条が適用されます。民法第709条の内容は「故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」というもの。

しかし、火災による被害については特別枠で失火法というものが存在します。

「民法第709条の規定は 失火の場合には之を適用せず。但し、失火者に重大なる過失ありたるときは 此の限りに在らず」

つまりどういうことかというと、「民法709条で損害賠償責任が発生するとしても、火元に重大な過失がなければ失火だけは損害賠償しなくてもいい」ということです。そうなんです、火事だけは特別扱いなんです。

なぜ損害賠償がないのか

なぜこういう法律になっているかというと、まさに今回の様なケースのためで、「延焼に対して過失を認めると、木造家屋が多い日本では責任規模が莫大すぎて過大になってしまう」という考え方から、単なる過失の場合には出元の責任を免除しているのです。

今回の様なケースで火元に責任を問うても、おそらく一生をかけても背負いきれない規模になってしまうので結局不毛な話になってしまいます。極端な話、末代まで借金を背負わせるか終身刑にするしかなくなるので、そんな結末では誰も救われません。

  • 江戸時代なら死刑確定
  • ちなみに、江戸時代は火事の火元は問答無用で死刑でした。

    当時の江戸は木造建築が繋がって密集した街の作りだったので、火事一つで全てが燃えてしまう可能性もあったのです。現代で言うと、火事一つで東京が壊滅するぐらい。なので、火の扱いについては極刑を以て当たっていたんですね。

    さすがに死刑は酷かと思いますが……。昔の人が火事をどれだけ恐れていたかが良く分かります。

どこまでが重大な過失になる?

しかし、明らかに重大な過失が認められた場合は話が別です。

それでは、「一体どこまでが重大な過失と認められるのか」という話になるんですが、これは裁判で戦う余地になる曖昧なところなので過去の判例を参考にするしかありません。

重大な過失が否定された判例

  • 工場の煙突から飛散した火の粉による火災。
  • さんが古くなって倒れやすくなったふすまが石油ストーブの上に倒れて火災になった例。
  • 屋根工事をしていた職人が煙草を火の付いたまま投げ捨てて起こった火災。
  • 火を消すために消火用の砂を取りに行った際ガソリン缶を蹴倒して惹起した火事。
  • 浴槽の排水口の栓が不完全であったため、水がなくなったが、それを確認せずガスを点火し、空焚き状態から発生した火災。
  • ベットからずり落ちた布団にガスストーブの火が点火して発生した火災。
  • 仏壇の蝋燭が倒れて失火した場合に蝋燭の点火者及びその家族に重過失がなかったとされた(東京地方裁判所平成7年5月17日判決)
  • 電気器具の器具付きコードのプラグと室内の壁面に設置された電気配線のコンセントの接続部分(コネクター)にほこりや湿気がたまることによって生ずるトラッキング現象が出火原因とみられる火災につき、建物の使用者の重過失が否定された・・・トラッキング現象が、火災発生の原因として注目されるようになったのは比較的最近のことであり、本件火災が発生した平成4年8月当時は必ずしも一般に良く知られた事象であったとはいえないことを理由とする(東京高等裁判所平成11年4月14日判決)・・・平成26年現在では、重過失とされる可能性がある。

失火(火事)の損害賠償請求裁判 より引用

重大な過失が認められた判例

  • セルロイドの玩具の販売店員がセルロイド製品が存在する火気厳禁の場所で、吸いかけの煙草を草盆上に放置し、そこへセルロイド製品が落下し、火災になった例(名古屋高裁金沢支部昭和31年10月26日判決)。
  • 火鉢で炭火をおこすため、電話機消毒用のメチルアルコールを使用し、火鉢の火気を確認せず、アルコールを火鉢に注ぎ、火災になった例(東京地裁昭和30年2月5日判決) 。
  • 電熱器(ニクロム線の露出しているもの) を布団に入れ、こたつとして使用し火災が発生した例(東京地裁昭和37年12月18日判決)。
  • 藁が散乱している倉庫内で煙草を吸い、吸い殻を捨てたため、後になって火災が発生した例。
  • 強風、異常乾燥で火災警報発令中に建築中の建物の屋根に張ってある杉皮の上で煙草を吸い、そこに吸い殻を捨てたために火災が発生した例(名古屋地裁昭42・8・9判決) 。
  • 電力会社が引下配線が垂れ下がっているのを現認したにもかかわらず、これを放置したため、強風のため電線が切れ、家屋の火災が発生した例(大阪高裁昭44・11・27判決) 。
  • 石炭ストーブの残火のある灰をダンボール箱に投棄したため発生した火災につき、灰を投棄した者に重過失がある(札幌地裁昭和51年9月30日判決)。
  • 電気こんろを点火したまま就寝したところ、ベットからずり落ちた毛布が電気こんろにたれさがり、毛布に引火し火災になった例(札幌地裁昭和53年8月22日判決) 。
  • 主婦が台所のガスこんろにてんぷら油の入った鍋をかけ、中火程度にして、台所を離れたため、過熱されたてんぷら油に引火し、火災が発生した例(東京地裁昭和57年3月29日判決)。
  • 周囲に建物が建ち、多量のかんな屑が集積放置されている庭において、火災注意報等が発令されているような状況下で焚火をした者に重過失がある(京都地裁昭和58年1月28日判決)。
  • 寝たばこの火災の危険性を十分認識しながらほとんど頓着せず、何ら対応策を講じないまま漫然と喫煙を続けて火災を起こした者には重過失がある(東京地方裁判所平成2年10月29日判決) 。
  • 点火中の石油ストーブから75cm離れた場所に蓋がしていないガソリンの入ったビンを置き、ビンが倒れて火災が発生した例(東京地方裁判所平成4年2月17日判決)。
  • マンション解体工事でアセチレンガス切断機で鉄骨切断中、飛散した溶融塊により発生した火災の例(宇都宮地裁平成5年7月30日判決)。
  • 石油ストーブに給油する際、石油ストーブの火を消さずに給油したため、石油ストーブの火がこぼれた石油に着火して火災が発生し、隣接の建物等を焼損したことにつき、重過失があったとして不法行為責任が認められた例(東京高裁平成15年8月27日判決)。
  • クリーニング店舗内の作業所の床面・配線等に問題があったにもかかわらず,いずれもその修理を怠り,しかもドライ液の漏出の回収を怠っているから,本件火災の発生につき,被告らに は失火責任法所定の重過失があった(東京地方裁判所平成19年9月14日判決)。

失火(火事)の損害賠償請求裁判 より引用

詳しく読んでみると今回の火災に重過失が認められるかどうかは微妙なところ。「油の付近での火の不始末ではないか?」という憶測はされていますが、まだ消化、鎮火の段階ではっきりとした原因が分かっていない状況です。事態が落ち着いたら詳しく調査が入ると思うので、後々原因も過失も明らかになるでしょう。

-2016/00/00追記-
火事の原因も明らかになり、出火元にどれだけの責任が問われるのか、問われなかった場合は誰が責任を取るのかに注目が集まっています。

「鍋に火をかけたまま出かけていた」という証言が嘘ではなかった場合、火元には重過失が認められるのでしょうか?

微妙なところですが、個人的な意見としては、「油が大量にある飲食店で日常的に火を扱っており、十分に危険性を認識した上で乾燥したこの時期に火の取り扱いをおろそかにした」というのは、重過失にあたるのではないかと思います。

とはいえ、感情的な面もないとはいいきれず、飽くまで個人的な心象としては、ですが。「物だけではなく、思い出や過去まで全て失ってしまったその気持ちをどこにぶつければ良いのか」という被災者の憤りを思うと、どうしても責任を問う方に揺れてしまいます。

しかし、悪意がなかったのも分かります。店主本人もこんな大事になるとは夢にも思ってなかったでしょう。全責任を問うのも酷というものですが、例え重過失が認められたとしても店主個人が責任を負うことが出来ないのは明白です。被災者の方の保証や生活についてはほぼ自然災害の時と同じような対応になるのではないかと思っています。

街の復旧も含めて一刻も早く新しい生活を築くにあたって、被害者の方々に十分な支援がされることを願っています。

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