一部ではまことしやかに囁かれている「砂糖は人体に有害説」。

悪い悪いと言われても、一体何が悪いのかという話になると、それぞれに言っていることが矛盾していたり、根拠が乏しかったりでイマイチ信憑性を得ない感じもあります。

一方、1997年のWHOからの「砂糖安全宣言」を追い風に、更に推進していこうとする動きも確かにあります。

さてさて砂糖は無害か有害か。

いざ調べてみると、砂糖の有効性を語る理論には、食生活で一番重要な「バランス」の観点がすっかり抜け落ちているように感じられました。

そこで、今一度“砂糖との付き合い方”を考え直した方が良いのではないかと思い、この記事を書くことにしました。

Sponsored Link

砂糖は有害派の意見

「砂糖そのものが有害だ」という説もあちらこちらで語られますが、一番問題にされるは砂糖そのものの害ではなく、その摂取量です

砂糖の1日の摂取量の目安は20g~40gだと言われています。数字で言われるとピンときませんね。

実際に食べたり飲んだりしているものに、どれほどの砂糖が入っているのかを見てみましょう。

砂糖の含有量の目安

大さじ 1杯 約10g
角砂糖 1個 約3g
シュガースティック 1本 約5g
炭酸飲料 150ml 約50g
清涼飲料 150ml 約25g
プリン 1カップ 約25g
シュークリーム 1個 約20g
すき焼き 1人前 約10g
おはぎ・大福 1個 約15g
ミルクチョコレート 1枚 約20g

炭酸飲料水が特にヤバいです。1本で1日分の必要量を優に超えています。

炭酸飲料だけだと思いますか?ひょっとしたら「40g以下なら大丈夫」と思われるかもしれません。

しかし、20g~40gは飽くまでも個人差であることを忘れてはいけません。日本人の体格で、糖分を消費しない生活をしているならば、最低値の20gを基準にすべきです。

そうなると、上の表の食べ物はほぼアウトですね。

ましてや、1日に砂糖しか食べないというわけにもいきません。炭水化物や果物にも、糖質は含まれています。

上の表を見ただけでも、現代人がどれほどの過剰摂取をし易い環境で生きているかが分かります。

一日の摂取量が100gを超えている人も珍しくないんじゃないでしょうか。

砂糖そのものは生物に必要ない

今でこそ塩と並べて語られる砂糖ですが、人類の歴史を考えると、実は砂糖がない時代の方が長いのです。

紀元前8000年から紀元500年までは、「蜜蜂の助けを借りないで蜜をもたらす葦がある」というサトウキビの伝説が語られている程度。

初めは貴族や王族に、一般庶民に出回りだしたのは、人類の歴史からすればつい最近のことです。専売制が廃止されたのが2002年のこと。

その重要度は、太古の昔から生物の生存に必須であった塩には遥かに及びません。生物が生きていくために、砂糖は必要ないんです

砂糖の有用成分であるブドウ糖やミネラルは、他の食材で十分に摂取できます。そして、むしろその方が望ましいと思います。

有効成分以外は無駄なカロリーに、つまり害にしかならないそうです。

砂糖は無害派の意見

しかし、そうした事実とは無縁であるかの様に砂糖の有効性が主張されています。

健康を専門とするお偉い方々を初め、たくさんの方が砂糖の有効性を語る中、1997年、WHO(世界保健機構)が砂糖の安全宣言を発表しました。

WHOの安全宣言

それまで砂糖の摂取について、一般的に問題が指摘されていたのは次の3つです。

      1)低血糖による情緒不安
      2)肥満の促進
      3)カルシウムの溶出

WHOは、これらの説を完全に否定し、1997年4月、「砂糖は安全な食品である」と宣言しました。

1)に関しては、今回、MS RD RitaTsay女子やGibson氏が否定。「糖分やその他の炭水化物を摂取することは、脳のセロトニン水準を上昇させ、精神的健康に肯定的影響を与えるものと思われる」(MS RD RitaTsay女子)、「糖分は鬱状態を起こすどころか、中枢神経系において内因性オピオイドを放出させることによりストレスを軽減することが確認されている」(Gibson氏)とし、むしろ精神の安定化を図るためにも糖分が必要と説いた。さらに、井上修二氏(共立女子大学 医学博士)らも動物実験の結果から、「高砂糖食はストレスの影響を弱める作用がある」と結論付けている。

2)については、よく論じられるところだが、ラットによる高砂糖食と高脂肪食との飼育の比較では、「高脂肪食飼育では有意の体重増加をもたらしたが、高砂糖食飼育では体重増加をもたらさなかった」と井上氏。また、Gibson氏も「体重増加は糖分の摂取とは関係がない」と否定。「肥満は糖分の消費の多さではなく、少なさと関連付けられる。むしろ、脂肪摂取の増加が肥満を促進する」とした。

また、3)については、砂糖はビタミンB1が含まれていないため、多量に摂るとB1が不足し、血液が酸性化するため、骨からカルシウムが溶出するという説はマスコミによる風説にすぎないという。

ヘルスネットメディア:砂糖摂取で精神状態はどう変わるか~砂糖にまつわる誤った認識 より引用

この様に、それまでの問題点を否定することで「砂糖は安全である」と宣言したわけですが、じゃあ何も考えずに摂取しても良いかというと話は別です。

後に詳しくお話しますが、WHOは、遊離糖類の1日の摂取量の目安を、1日の全カロリーの10%から5%に引き下げました。

砂糖は脳のエネルギー?

砂糖の有効性を主張する意見の中でよく見られるのが、脳と糖の関係を根拠にした優劣論。

「糖を摂る人の方が、摂らない人よりも脳の活動が優れている」という話です。

脳が緊急にブドウ糖を必要とするとき、もっとも頼りになるのが砂糖です。食べ物として摂取された砂糖は、小腸で消化吸収され、その後数10秒で血液中に現れます。砂糖は、ごはんやパンに比べて吸収が速く、失われたエネルギーをすばやく回復させる速効性のエネルギー源なのです。

脳のエネルギー源は、通常ブドウ糖だけ。 :: Science@Sugar より引用

ブドウ糖は砂糖のほか、ごはん・パンなどのでんぷんを構成する成分のひとつです。これらを食べることが、脳にエネルギーを補給する事になります。中でも分子構造が簡単な砂糖は、小腸で消化吸収され、その後数十秒で血液中に現れます。砂糖を含んだ甘いものを上手に摂取することは、脳の活性化につながるのです。

お砂糖と脳|お砂糖研究所|知る・楽しむ|お砂糖はカップ印 日新製糖 より引用

この様に、「脳に必要なエネルギーを素早く摂取できる」という話が、砂糖の有効性の根拠になっています。

Sponsoerd Link

砂糖は無害説の問題点

ところで、私はこの無害説に2つの大きな疑問を抱いています。

一つは、砂糖の有効性を推す意見の多くが、一日の摂取量に全く、もしくは問題にならない程度にしか触れないということ。もう一つは、砂糖の素早い摂取が必要なのか、それに伴うリスクはないのかということ。

ひとつずつ、順に考えていきましょう。

一日の摂取量

一番最初に述べたように、砂糖の1日の摂取量の目安は約25gだと言われています。

この目安の量は、WHOによる摂取基準「1日に摂取する全カロリーのうち5%」を砂糖に換算した量です。

そして、最初の表を見てもらえれば分かる通り、炭酸飲料1本で1日の必要量のゆうに2倍の砂糖を摂取してしまうことになります。

さらに、通常ブドウ糖は炭水化物から摂取するものですから、パンやご飯を主食にしていれば砂糖は不要

ちなみに、主な炭水化物を角砂糖に換算するとこれぐらいの量になるんだとか。

ということで、「Sugar Stacks」のパクリですが、ふだん私達が食べているものには、砂糖換算でどの程度の炭水化物が含まれているかを写真にしてみました。(角砂糖1個は砂糖3.3gです)

パンに含まれる角砂糖

パンに含まれる角砂糖

パンに含まれる角砂糖

カーボカウントな日々 砂糖に換算すると より引用

由々しき事態です。

いくら消化吸収が早いとはいえ、私はこれら炭水化物にプラスして砂糖を摂取する気には、とてもなれませんでした。

砂糖などの二糖類と炭水化物では、消化吸収までのメカニズムや時間が違うので、ご飯に含まれる糖質全てを角砂糖に換算してしまうのは、確かに間違いです。

二糖類と炭水化物を同列で語るのは間違っていますが、炭水化物で十分な糖質が摂取できることは間違いありません。

急な消化吸収に伴うリスク

糖質の早すぎる吸収はインスリンの過剰分泌を引き起こし、低糖になるという説があります。

血糖が急上昇するため、血糖値を下げようとする作用(インスリンの分泌)が働き過ぎた結果、血糖値が下がり過ぎてしまい低血糖になるというのです。

あまりに低血糖になりすぎると、以下の症状にさらされる危険があります。

(1)中枢神経症状  意識の混乱、おかしな行動、集中力の散漫、眠気、発語困難、頭痛、複視(ふくし)、けいれん、昏睡(こんすい)などです。

(2)自律神経症状  空腹、発汗、震え、不安、動悸(どうき)、口唇乾燥などです。

低血糖症とはどんな病気か|症状や原因・治療 – gooヘルスケア より引用

消化吸収が早いというのも、良いことばかりではないようです。

この説が正しいのかどうかは、意見が割れています。

しかしどちらにせよ、「バランスよく摂らなければ害にしかならない」という全ての栄養素に当てはまる前提で考えれば、砂糖の塊のような食べ物がコンビニに行くだけで簡単に摂取できてしまうこの状況は、健康に害をもたらす可能性が高いと言えそうです。

砂糖との付き合い方

色々と調べてみて、私自身は、砂糖そのものに害はないと思っています。

問題なのは砂糖との付き合い方。

異常です。

炭酸飲料水に含まれている砂糖の異常な量、この画像を見たら胸やけがしてきませんか。

角砂糖とコーラなどの炭酸飲料

こんなものが身の回りで当たり前に売られている中で、砂糖を「脳に必要なエネルギー」としてまだまだ推進していこうとする動きが確かにあります。

どうしてこんなことが起こっているのかというと、砂糖の経済市場が拡大の一途を辿っていることが主な原因だと考えられます。

つまり、「甘いもの」を消費者が危険を知らずに求めているのです。

食生活はバランスが一番重要視されています。バランスの悪い過剰な食事は、生活習慣病という新たな病気をもたらし、大きな社会問題となっています。

考えるべきは、砂糖が人体に有害か、無害かではなく、私たちの求める「バランスの良い食事」にどんな影響をもたらすのか、ではないでしょうか。

使用法を間違えれば、良薬だって毒になりうるのです。にもかかわらず、「美味しい方が売れる」というだけで、たくさんの会社がノンカロリーを謳って人工甘味料を惜しげもなく使っているのが現状です。

健康に悪かろうとも、死人がでようとも、高い経済性が伴えば否応なしにまかり通るのが現代社会です。

生活習慣病が身近な問題になって久しいですが、今こそ社会全体が、ひいては消費者の1人1人が砂糖との付き合い方を考え直す時なのではないかと感じています。