「スーパームーンが地震を引き起こす」そんな説がまことしやかに囁かれています。

スーパームーンに限らず、満月・新月は地震のトリガーになっているという俗説も存在します。

果たして本当に月の満ち欠けは地震の発生と関係しているんでしょうか?

月と自然災害の因果関係についてまとめました。

Sponsored Link

3.11と重なったスーパームーン

地震との因果関係が大きく話題になったのは、あの3.11とスーパームーンの時期が重なったからでした。

東日本大震災の9日後にスーパームーンが観測されたことから、あの大きな地震との因果関係は今でも俗説として語られています。

1~2週間以内の期間でスーパームーンと重なった地震は他にもあります。

2004年 スマトラ島沖地震。

2011年 東日本大震災の9日後にスーパームーン観測

2012年 名古屋地方で震度3の地震が発生、当日スーパームーン。

2014年 東日本大震災の余震当日スーパームーン

2015年 ニューギニア付近でM7.0の地震が発生しています。

しかし、科学的な裏付けは何もなく、ただの俗説としてオカルトの部類だと思われています。

スーパームーンは実はそんなに珍しくない

スーパームーンは1年に一度、ほぼ毎年やってくるので、実はそんなに珍しいものではないんです。珍しさで言えばブルームーンの方がレアです。

地震に至っては年がら年中。地震大国日本侮りがたし。

さらにニューギニア付近に至ってはこんな有様です。

ニューギニア付近の地震

日本のみならず世界まで視野に入れると、ほぼ毎日地震が起こっているわけですから、スーパームーンと重なることも珍しいことではないでしょう。

そんな状態ですから、スーパームーンが地震を引き起こすと言われていても、科学的には実証しようがないのが現状です。

3.11のスーパームーンは特別仕様

3.11は大きな被害を出した地震とスーパームーンが重なったことで話題になりましたが、それだけで地震とスーパームーンの因果関係を科学的に考えるのは難しそうです。

ただその日はスーパームーンの方も特別仕様で、18年に1度の「エクストリームスーパームーン」でした。

「エクストリームスーパームーン」とは、月がスーパームーンになってから、つまり地球に最接近してから1時間以内に満月になるという珍しい現象です。

と言われても、何がどうすごいのか見た目には全く分からないので全然ピンときませんが。

Sponsoerd Link

地震と月の関係

月の引力の影響として最も知られているのは、潮位の干満差への影響でしょうか。

地震と関係しているという話は、割と古くから言われてはいるものの、その因果関係は未だ証明されていません。

満月・新月が地震を引き起こす?

満月・新月と20世紀以降に起きたマグニチュード8以上の地震を、気象庁のデータから統計的にまとめたサイトがあったので、データを引用します。

少し見辛いですが、ここではこういうデータがあった、ということだけをお伝えしたいのでご容赦ください。

満月・新月に近い地震は青で表示しています。

  • 2001年6月23日 ペルー沖で地震 – M 8.4 (満月は6月6日 / 新月は6月21日)
  • 2003年9月26日 十勝沖地震 – M 8.0 (満月は9月11日 / 新月は9月26日)
  • 2004年12月23日 オーストラリア、マッコーリー島周辺で地震 – M 8.1 (満月は12月27日 / 新月は12月12日)
  • 2004年12月26日 スマトラ島沖地震 M 9.1 – 9.3 (満月は12月27日 / 新月は12月12日)
  • 2005年3月28日 スマトラ島沖地震 – M 8.6 (満月は3月26日 / 新月は3月10日)
  • 2006年5月4日 トンガで地震 – M 8.0 (満月は5月13日 / 新月は5月27日)
  • 2006年11月15日 千島列島沖地震 – M 8.3 (満月は11月5日 / 新月は11月21日)
  • 2007年1月13日 千島列島沖地震 – M 8.1 (満月は1月3日 / 新月は1月19日)
  • 2007年4月2日 ソロモン諸島で地震 – M 8.1 (満月は4月3日 / 新月は4月17日)
  • 2007年8月15日 ペルー地震 – M 8.0 (満月は8月28日 / 新月は8月13日)
  • 2007年9月12日 スマトラ島沖地震 – M 8.5 (満月は9月27日 / 新月は9月11日)
  • 2009年9月29日 サモア沖地震 – M 8.1 (満月は9月5日 / 新月は9月19日)
  • 2010年2月27日 チリ・マウレ地震 – M 8.8 (満月は3月1日 / 新月は2月14日)
  • 2010年4月6日 スマトラ島沖地震 – M 8.0 (満月は4月28日 / 新月は4月14日)
  • 2011年3月11日 東北地方太平洋沖地震 M 9.0 (満月は3月19日 / 新月は3月2日)
  • 2012年4月11日 スマトラ島沖地震 – M 8.7 (満月は4月11日 / 新月は4月21日)
  • 2013年2月6日 ソロモン諸島で地震 – M 8.0 (満月は2月26日 / 新月は2月10日)
  • 2013年5月24日 ロシア、オホーツク海で地震 – M 8.4 (満月は5月25日 / 新月は5月10日)
  • 2014年4月1日 チリ沿岸北部で地震 – M 8.2 (満月は4月15日 / 新月は3月31日)
  • 2015年5月30日 小笠原諸島西方沖地震 – M 8.1 (満月は6月3日 / 新月は5月18日)

In Deep より引用

20世紀に起きたM8以上の地震20回のうち、満月・新月とシンクロしたのは10回。
(満月・新月の間が15日なので、「3日以上外れたらシンクロしてない」という条件で数えています。)

この様に「スーパームーン」から「満月・新月」に条件を拡大しても統計的には全く偏りがなく、とっかかりすら掴めません。

よく「満月・新月の時期の前後に大きな地震が発生しているという統計データがある。」という話は耳にしますが、提示されるデータは被った時期をピンポイントで抜き出しているものが多く、なかなかどうして信憑性に欠けます。

地震と月の周期の全体を見渡したデータはまだ見たことがありませんが、統計的にはそういうものでなければあまり意味がないと思います。

地震は様々な要素が複雑に絡み合って起きるので、決定的な原因を研究するならまだしも、“影響しているかもしれない”という曖昧な関係に結論を導き出すのは、統計学ではより難しいのかも知れませんね。

ただ、震源の深さが40Km以内の浅い場所で起こる地震については、月の引力の影響を指摘する学説も存在しています。

特に満月や新月の日には、最大で±60㎝の地盤変動が起きると言われており、それが地震の最後のきっかけになっているというのです。

スーパームーンは大潮中の大潮

もしそうした影響が本当にあるとすれば、地球に大接近してくるスーパームーンは大潮中の大潮。その日、月の引力は1年を通して最大になり、地震への影響もその分大きいと言えます。

そう考えれば、「スーパームーンが地震を引き起こす」という話にも一応の筋が通っています。

しかしながら、そもそも地震のメカニズムさえもしっかりと解明されていないのが現状です。現実的な着地点としては、「影響はあるとしても、現状では気にしても仕方がない」と言ったところでしょうか。

占星術の方面から考えてみる

「スーパームーン」という単語は、占星術師のRichard Nolle氏が1979年に定義した言葉で、この位置にある月は「地球物理学的ストレス」の原因になると主張しました。

スーパームーンという言葉そのものが、“地球に大きく影響を与える日”として定義されたものであるということは、地震が起きやすい、火山活動が活発になる、人の精神に影響を与える、願いが叶う、などのいわゆる俗説が定着する原因にもなっていそうです。

そもそも、「地球物理学的ストレス」とは一体何なんでしょうか?

地球物理学的ストレスとは

現代の地球物理学の分野は主に6つです。

  • 測地学 – 地球の形状・特性を解明する。衛星を用いた測量、重力の測定など。
  • 地震学 – 地震の発生メカニズムの解明、地震予知、地震波を用いた地球内部構造の推定など。
  • 火山学 – 火山の噴火メカニズムの解明、噴火予知など。
  • 気象学 – 気圏の物理学的特性を扱う。大気力学はどちらかというと並列分野。天気予報は大きな応用分野。
  • 海洋物理学 – 水圏の物理学的特性を扱う。潮汐、潮流の研究など。
  • 地球電磁気学 – 地球の電磁気学的な現象を扱う。地磁気、古地磁気の研究など。

「地球物理学的ストレス」をそのままの意味で捉えると、こうした地球物理学の研究対象全体にある種のストレスがかかっているという意味ですね。

「ストレス」と言うと、俗に「精神的なマイナス負荷」をイメージしますが、もともとの語感としては緊張感や負荷という意味合いで使われる言葉で、プラス・マイナスのベクトルを示す言葉ではありません。

「ストレス」を細かく定義すると、生物の活動そのものがストレスであるとも言えます。つまり、ポジティブなストレスという言葉も語感としてはおかしくはないのです。

なので、必ずしも悪いことが起きるというわけではないでしょう。より活発になる、緊張感が増す程度のニュアンスで受け取って問題ないと思います。

具体的な内容は明言されていないようですが、地震だけでなく、物理学全体を見渡してみると、思いもよらないところに影響が出ていたりするのかもしれません。

しかし、これに対し天文学の分野では、確かに影響はあるものの、その度合いは極めて軽微だという立場をとっています。

まとめ

スーパームーンが、地球の自然や生物に影響を与えている可能性は高いと思います。しかし、その全てを科学的に証明するのは難しいでしょう。

もしスーパームーンが地震の発生に一役買っていたとしても、それだけがトリガーになっているわけではなさそうです。

統計を見て影響を証明するにはデータの偏りが不十分ですし、占星術などの方面から見ても、もっと広い視野で、たくさんの星の並びを見極める必要があるのではないかと思います。

そう考えると「スーパームーン=地震」という単純な方程式では、とても語りきれないことが分かりました。

いつか、この先もっと学問が発展したら、地震のトリガーとなるスーパームーンとそうではないスーパームーンが見分けられる日も来るかもしれませんね。