よく満月の日は感情が昂ぶりやすく、新月は緊張感が高まると言われます。月の満ち欠けは、本当に人間の心や体に影響しているのでしょうか。

このテーマについて、前回は「科学ではどう考えられているのか」という話をしました。

まだ読んでいなければ、こちらからサッと目を通して頂けると今回の記事が読みやすいと思います。
月の満ち欠けは本当に体調や精神・感情に影響するのか。科学的には関係ない?

前回は、「他に影響する要素が多すぎて“月の影響だ”と特定するのが無理なだけで、影響がないはずがない」という個人的な意見を吐露したので、今回はそれについて科学とは違う視点から掘り下げていきます。

こういう話題は一応カテゴリー的にはスピリチュアルな話だと思うんですが、もしそういった話を期待していたらごめんなさい。

どちらかというと哲学的なアプローチをしているので、ちょっと濃い話になるかもしれません。

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天文学と数学と音楽は元々同じ学問だった

「天文学と音楽は元々同じ問題を考える学問だった」という話はご存知でしょうか?

例えば、音楽でよく使われる「ハーモニー」という言葉は、天体の運行を観察する過程から生まれた言葉です。昔の人は、お互いに影響しながら規則正しいリズムで運行する星たちを「調和/ハーモニー」という考え方を持ち込んで考えました。

今では世界共通の「ドレミファソラシド」もまた、天体の美しさを追求する過程で生まれました。弦楽器の弦1本1本は、天体が綺麗な調和を見せた時の並びに沿って張られているといいます。

この頃、「世界は神による完全なる調和の上に成り立っている」と考えられていたので、古代ギリシャでは「宇宙の動きを知ること」と「完全な美しさとは何か?」を考えることは同じことでした。

昔の人々にとって、夜空の星は完璧な美しさを体現する神そのものだったのです。そしてそれを紐解いていくと、いつか世界の真理に辿り着けると信じられていました。

整数比で成り立つハルモニア

昔の人は星々の運行に世界の成り立ちを探しました。現代人が科学にそれを見るように、古代では天文学に絶対の真理を見ていました。

ピタゴラスは、宇宙の無限にも思える規則性は全て数の比によって秩序付けられると考え、その美しい調和を「ハルモニア」と呼びました。「ハルモニア」は整数の比により構成されており、この世の全ては整数比によって表すことが出来ると考えたのです。

その後、彼の考えは無理数(整数比で表現できない数・無比数)の存在とともに否定されたかのように思われました。

しかし、現代の量子力学においては、世界は「素粒子」という基本単位から成り立っているとされます。質量、時間、エネルギー、すべては素粒子という最小の単位の整数倍で測定されるのです。

このことは、ピタゴラスが夢見た整数による調和の世界“ハルモニア”が間違っていないことを示唆しているのかもしれません。

「ピタゴラスの定理」で有名な数学者ピタゴラスですが、実は天体の研究にこそ心血を注いでいました。そして、彼こそが小学校の時に誰もが習う「ドレミファソラシド」を発見した人物でもあります。

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人の感情と音楽

天文学と音楽に密接な関わりがあることが分かったところで、少し音楽の話をしましょう。

いつの時代も、音楽で一番重要なのは“何を”“如何に伝えるか”です。

14世紀ごろまで「何を」にあたるものは神でした。当時はポリフォニーという手法でそれを伝えていたといいます。

音階のルール

ポリフォニーとは、独立した複数のメロディーの集合体です。

気持ちよく聞こえるメロディーにはルールがあります。ドレミファソラシドですね。

前述しましたが、この8音階はピタゴラスによって発見され、それが中世に伝承されました。

「音階の発見」

紐をピンと張って弾くと音が出ます。この音を半分にすると音が高くなります。これが1オクターブ。

同じ長さの弦を2本並べて、片方を2/3の長さにするととても気持ち良く響く。ド(長い弦)に対してソ(短い弦)の音です。

ソの弦を更に2/3にするとレ。

レをさらに2/3にするとシ。

ピタゴラスは、こうして8個の音階を発見しました。

それは音の周波数が単純な整数比、つまり「ハルモニア」に近づくほど心地よく聞こえるという発見でした。

しかし、なぜ単純な整数比が人間にとって心地よく聞こえるのかは分かっていません。そうだからそうとしか言えないのです。

和音のルール

16世紀になりオペラが誕生し、「何を」で伝えるものは人の心の浮き沈みに変わっていきます。そして17世紀になってようやく和音が使われ始めました。倍音の発見です。

倍音について詳しく語ると話が逸れていくので避けますが、この発見はピタゴラスの主張を科学的に裏付ける結果になったことだけを伝えておきます。

純正な音程の場合、周波数の比率は、オクターヴが1:2、完全5度は2:3、完全4度は3:4、長3度は4:5、短3度は5:6となり、長3和音は4:5:6、短3和音は10:12:15となる。

和音 – Wikipedia より引用

「無限の感情を表現する和音」

一番心地よく聞こえると言われるメジャーコード「ド・ミ・ソ」の周波数の比は、4:5:6という単純な整数比になっています。明るく響く、楽しい気持ちにさせてくれる和音です。

メジャーコードの「ミ」を半音下げるとマイナーコード。悲しい響きを持つ和音です。

喜びと悲しみの正反対の要素を持っているようで、その違いはミが毎秒659回振動しているか、ミ♭が622回かだけの違いです。

音楽の世界では人が嬉しいか悲しいかの違いは、たった37回の振動数なんです。

他にも、緊張感を与えるテンションコード、曖昧な響きを持つブルーノートなど、和音はその組み合わせによって無限にも近い感情の表現を可能にしました。

しかし、なぜ和音が人の感情をこうも多彩に表現できるのかは分かっていません。

調和と感情

天文学、音楽が同じように「調和」を考える取り組みだったことが、朧気ながら理解できたと思います。

ですが、「調和」を考えたのは天文学や音楽だけではありません。

絵画の世界では常に色彩の調和が考えられてきました。

建築の世界では形の均整。

道徳や宗教の世界では中庸を重んじる道徳原理。

スポーツの世界では心技体。

「調和」という概念は、本当に様々な分野で考えられてきました。

さて、ここで一つ考えてみてください。

あなたが美しいと感じる瞬間はどんな時でしょう?

美しいと思う行為はどんな行為でしょうか?

きっと「調和」と無関係ではないでしょう。そんな疑問を胸に世界を見渡してみると、「調和」をある種のゴールに添えている世界に気付くはずです。

宇宙も、自然も、人も、そして身近な人間関係でさえも、「調和」なしに成り立つことはないんです。

まとめ「月と人の感情」

さて、随分と回り道をしてきましたが、改めて今回のテーマに向き合ってみましょう。

「月の満ち欠けは、本当に人間の心や体に影響しているのか」

太陽と月と地球が直線上に調和した新月・満月の日が、人の感情を大きく左右したとしても全く不思議なことではないと思えます。

この世には、無条件に感情を表現するものがたくさん存在しているのですから、古来から月を頼りに生活してきた私たちが感情を左右されるのは当たり前のようにも思えてきます。

太陽暦を使用し始めてからは月の巡りはすっかり忘れ去られ、月を見上げることも少なくなりました。それでも月の満ち欠けは人の体と心に影響を与えるのか言われると、真偽の程は分かりません。

分かりませんが、それ以前に私たちはその壮大な運行のただ中に生活しているのです。「科学的に証明されていないからオカルトだ」と否定してしまうのは、あまりに勿体ないことだと思います。

世界には顕在意識では気付けないことの方が多いのですから。

あとがき

哲学の世界では「幸せとは、周囲のすべてとの究極のバランス(調和)である」として、しばしば「美しさ」同じ意味で語られます。

暦を使い、気候に馴染み、その土地の自然に調和して発展してきた人類にとって、古代の学者が宇宙を考えたことは「人類全体の幸せ」の第一歩だったのかもしれません。

そう考えると、スピリチュアルの世界でやたら「宇宙」という言葉が使われることにも、何となくですが得心がいきますね。

満月の日は感情が昂ぶりやすく、新月は緊張感が高まると言われています。

そうなると、なぜ?と考えてしまいますが、おそらくは音楽のメジャーとマイナーと同じような理屈ではないかと思います。

「そうなんだから仕方ない」ということ。科学の世界でそんなことを言ってしまうとペットボトルが飛んできそうですが……。

よく言われている月と感情の関係については、また改めてまとめてみようと思います。

長い上にやたら濃い文章だったと思いますが、最後まで読んでいただいてありがとうございました。

お疲れ様でした。